何故、対談相手に笠井会員を選ばれたのですか? |
阪田: |
今の子供達には、受験があったり、不登校があったり、色んなストレスがありますよね。それらは全て香りに通じるところがあります。将来の子供達のためにということでも私は活動をしていますので、色々とお話を伺いたいと思って選ばせていただきました。 |
笠井: |
香りと精神面の関係について、素人なので少し説明をしていただきたいのですが。 |
阪田: |
では、簡単に紹介させていただきますね。香りは呼吸をしているだけで嗅げるのですが、鼻から入った香りの分子を『何か来たぞ』と受容体がキャッチして、電気信号として脳に伝え、脳が刺激に対して『これはリラックスできる香りだ』とか『これは危険な香りだ』とか、反応を返す訳です。人間も動物ですから、200種類以上の香りに対する反応が生まれながらに組み込まれています。それ以外にも、嗅ぎ慣れていくことで受容体はどんどん増えていきます。香りを嗅ぐことで、それが安心なのか、安全なのか、食べられるものなのか、食べられないものなのか、自分は病気なのか、健康なのか、仲間なのか、敵なのかということを判断する材料として嗅覚があります。その嗅覚が、大脳辺縁系という感情や情動、本能的なところを司る部分にダイレクトに繋がっていて、『痛い!』という反応よりも遥かに速く、0.015秒で脳に伝わって、脳が指令を出すんです。逆に言うと、子供達に対して、記憶力をアップさせようとか、もっと集中させようとか、気分を上げてあげようとか、下げて落ち着かせようということも、香りを嗅がせて脳に指令を出させることで、自律神経をコントロールすることで可能になります。そういう面白いものが、香りの仕組み、正体なんです。特に、天然の香りはその力が強いですね。 |
匂いと一緒に思い出を思い出す……とか、ありますよね。 |
阪田: |
はい。その引き出しが一緒なんです。目で見たものは忘れていきますけれど。
笠井さんの興味がありそうなデータも用意してみました。まず、ミス率が減るとか、集中するので普段よりもたくさん問題が解けるとか、落ち着きが増すとか。また、天然の香りにはリラクゼーション効果があって、ストレスを和らげます。ストレスを和らげると、嫌でも免疫力が上がります。これからの受験シーズン、風邪を引き辛い体質づくりに、香りからもアプローチできるんです。 |
体調管理も重要ですよね。 |
阪田: |
香りをたいておくことで、免疫力が上がり、自律神経が安定し、集中力が増す。受験にはもってこいです。不登校のお子さんが、自律神経を宥めてあげることで、一番良いニュートラルな状態に近づいたというのもよく知られています。 |
笠井: |
香りの効果っていうのは、もうデータとして出ているんですか? |
阪田: |
研究の結果が出ています。それに基づいて、ヨーロッパ……フランス、ドイツ、ベルギーでは、医療用に病院やお医者さんが処方してくれます。日本には雑貨として入ってきたので、今も雑貨的な感覚ですけれど。医療関係の研究は日本が一番遅れています。そこに矛盾があるんですけれど。でも、香りというのはブレンドしていきながら目的を作っていくことができるんです。面白いと思いませんか、こういうの? |
笠井: |
このデータの回答率が全然違うとか、凄いなと思います。言われないと気が付かないですね、こういうのは。ちょっと脱線するんですが、面談とかする時に、相手に自分を『仲間だ』と思わせるような、香水的なものってありますか? |
阪田: |
ありますよ。警戒心を解くとか。もう少し具体的なシチュエーションを教えてください。 |
笠井: |
例えば、面談のために初めてお客さんのお宅に伺った場合。伺って、最初に親御さんと顔を合わせて話をするんです。親御さんですから、40代とかそんなくらいの方です。 |
阪田: |
第一印象を良くしたり、こう見せたいという自分自身の演出をしたりできます。逆に、上がり症の方が緊張を抑えるお守り的な香りもあります。胸元にかけておいて、体温で蒸発して上がってきた香りを嗅げるようにしておいて……といった感じで。 |
笠井: |
自分が嗅ぐ感じでしょうか? |
阪田: |
日本人の嗅覚は繊細なので、外国の香水はあまり向かない筈なんです。自分や近くに居る人にほのかに香る、そのぐらいが好まれます。 |
笠井: |
そのぐらいが一番良いんですね。 |
阪田: |
それが天然のアロマの特徴でもあります。紙に付けたものを目の前に置いておくだけでも、お互い呼吸することで嗅げます。 |
笠井: |
どこかに染み込ませて、それがその空間にあれば……ということですね。置いておくだけで結構変わるんですか? |
阪田: |
はい。香りの分子って揮発性のものですので。 |
笠井: |
殆ど無意識に入ってくるってことですね。 |
阪田: |
そうです。『明らかに』っていうのは、却って邪魔になるかも知れません。 |
笠井: |
何だか、場の雰囲気をコントロールするのに考えてみても良いかも知れませんね。 |
阪田: |
私も、こちらの方の分野をどんどん伝えていけるようにしたいと思っています。どうしても『アロマ』というと、女の子の楽しむもの、インテリア的なもの、エステというイメージですけれど。同友会に入ったのも、色々な方達と知り合って、そういったことを他の経営者や男性リーダーに伝えたいからなんです。香りマーケティングって、アメリカでは凄く盛んですし、東京で柔軟剤の香りを作っていらっしゃる方に伺った話では『今、匂い市場って凄いよ、東京では』みたいな感じなんですけど、日本ではまだまだ浸透していないですから。 |
色々ありますよね。柔軟剤以外に、洗剤や芳香剤等…… |
阪田: |
イメージ戦略でもありますね。たくさん商品につけて売ろうと思うと、どうしても合成香料や安価なものでという風になりますが、個人でできる私の場合は、品質の高い天然のものに限定して、お一人お一人にアレンジして作ることができます。 |
笠井: |
一人ひとりカウンセリングして、それに合わせたものを処方するみたいな感じですか? |
阪田: |
香りのブレンドというのはそういうことです。それができる人達を育てていこう、ライセンスを取得させていこうというのが、私がやっているアロマスクールです。皆さん、『アロマってあんまり関係ない』と思われる方が多いだろうと思って。 |
他に阪田会員が同友会に入った理由はありますか? |
阪田: |
それと、自分自身もスクールとサロンをぼちぼちやっていくのではなく、組織化していきたいという思いもあります。アロマの商品開発も始めていますので、ビジネスとしてどんな風にしていったら良いのか、そういった経営の勉強がしたくて同友会に入ったんです。笠井さんは、同友会とはどういったきっかけや繋がりなんですか? |
笠井: |
ずっと、他の方をお手本にするということがなかったんです。だから、経営をしているというより我流でやってきたと言いますか。横の繋がりも殆どなかったので、これは勉強しないといけないなと。 |
阪田: |
お一人で運営されているんですか? |
笠井: |
そうです。経営者として常識的な、色々なことを知らないままきていたので、『そういう集まりがあるよ』『勉強できるから』と、春田会員から誘われて、色々な人と関わりたいなと思ったのが最初のきっかけですね。 |
阪田: |
手応え的なものってありますか? |
笠井: |
勿論そういうものも大切なんですが、今はどちらかというと、頑張っている方と会うことで、『自分もやらないといけないな』という気持ちになれるのが一番大きいですね。 |
阪田: |
そうですよね。 |
笠井: |
林会員とか上口会員とか、凄く頑張っていますよね。そういう方と定期的に会うと、自然と自分の基準値も上がっていくのを感じています。これも大事なことですよね。 |
阪田: |
大事ですよね、モチベーション。 |
笠井: |
知識だけなら本を読んだりしても良いと思うんですけど。 |
阪田: |
話は変わりますが、私のサロンでは、コースを設定するのではなく、その時の気持ち、気分、体調に合わせて、お客さんのして欲しいようにして差し上げるという形態にしています。スクールで伝えているのも、『売上が』とか『売り方が』とかではありません。ぼちぼちを勧めて良いものかとは思いますが、以前、エステ店の店長をしていた時の経験から、それとは違ったやり方で、私なりの伝え方をしていきたいということで、お互い無理のないやり方でやりましょうという感じにしています。 |
笠井: |
集団塾のような、システムでお客さんに来てもらう形じゃなく、個別の家庭教師みたいなイメージですね。 |
阪田: |
そうです。じゃないと、お互いが辛くなるんです。 |
笠井: |
どこかでシステムだと合わない人が出てきますし。 |
阪田: |
前払いで何十回分ももらわなくても良いですから。そこで働いていた時は、かなり追いつめられていました。一人ひとりと寄り添えるというのは、信頼もしていただけるし、自分のペースに合っています。 |
今も少し出ましたが、他に同友会できっかけを得たことは? |
阪田: |
『売上やお金じゃないんだ!』とアロマを始め、ぼちぼちやっていましたが、周りから言われて、それはそれで駄目なことに気付きました。同友会で経営の勉強をして、自分の納得のいくようなやり方で売上を上げる。それを還元できる仕組み作りを目指そうと思いました。 |
笠井: |
どんなビジネスモデルなんですか? |
阪田: |
スクールに関しては年3回のライセンス試験がありますので、それに向けて生徒の募集をしています。 |
笠井: |
まず1つはスクール事業? |
阪田: |
はい。その人の希望、どうなりたいか、どうやっていきたいかを伺った上でコースを組み立てて受講料をいただく、それがメインです。それと、今やり始めているのが、企業やオフィス、飲食店のトイレやエントランス、リハビリ施設等、場に応じたオリジナルの香り作り。それを置くことで、場の雰囲気をコントロールする。福井ではまだそういった企業はありませんので、きちんとしたビジネスモデルとして立ち上げていきたいです。東京の大手企業だとコスト面を考えて合成香料も使っていますが、大手は大手。個人事業主の強みを生かして、オリジナリティがあって品質の高いものを作っていきたいですね。 |
笠井: |
教室で勉強する子がいるんですが、教室に置く場合はデフューザーを使うんですか? |
阪田: |
部屋全体にほのかに香らせるには、それがベストです。吸い込んだ空気が何となく違うくらいで良いと思います。ずっとというのはあまり良くないので、時々、香りを変える必要がありますが。タイミングを見て変えてあげると、凄く効果が上がりますよ。 |
笠井: |
奥が深いんですね。 |
阪田: |
奥が深くて面白いんですよ。生徒さんに多いのは高校受験、大学受験ですか? |
笠井: |
中学2年生から高校生が多いですかね。 |
阪田: |
受験ですね。プレッシャーも多くて、思春期で身体も大きく変化する時期。とても調整が難しくて、とても大事な時期ですよね。その分、色々と考えられそうですね。 |
どんな先生にみてもらったかというのも、かなり影響しますよね。学力や精神面を望ましい方向に導くという目的は共通していると思いますが、『あの時、家庭教師にきてもらって良かった』とどれだけ思えるかが重要だと思います。 |
阪田: |
生徒だけでなく家庭教師も、ちょっと顔を出すお母さんも含めて全員が、心地良い香りを仲介にして、心地良い時間を過ごせれば、仮にその先生との相性が微妙だったとしても印象も変わります。今、モテアロマというのも商品として販売しているのですが、それが正にそうです。見た目が普通の男の子でも、何となく良い香りがすると、女の子からは素敵に見える。この心理って分かりますか? |
笠井: |
男もそうですよね。 |
阪田: |
それって大きいんです。だから、心地良いと思わせる空気があるのはとて重要です。 |
笠井: |
欲しい人、いっぱいいるんじゃないですか?モテアロマ。 |
阪田: |
今、第二弾としてドライブ用のモテアロマを開発中です。私がブレンドしたものを販売するためには、薬剤師やパフューマーの資格を取って薬事法をクリアする必要がありますので、そのために東京に通ったりもしています。 |
笠井会員のところは、面談までいくとどのくらい成約率なんですか? |
笠井: |
うちは、まず無料体験授業の申し込みがあります。勿論、その前に面談がありますが、その前にブログを見てもらったり、電話等で説明したり。『じゃあ、家に伺いますよ』という場合が、8割くらい。面談だけきてもらうということもあります。でも、実は面談の時にはもう大体決めてもらっている場合が多いんです。それは、インターネットのお陰もあると思います。『二ヶ月くらい見ていました』という方もいたりして、こちらは初めてだけれど、向こうは時間を掛けてチェック済みという状況。それだけ見てもらっていたら、かなり親近感を持ってくださっているみたいで、凄くやりやすいです。 |
阪田: |
私も一緒です。スクールの募集って全く同じ心理ですよね。 |
笠井: |
先にチェックしてくれている人の方が、その後も良いお客さんになる確率が高いので、こちらをいかに広げていくかを考えています。 |
阪田: |
より真剣な方の数をもっと増やしたいですよね。 |
笠井: |
そうですね。意識の高い方、それを求めているという方を増やしたいです。 |
阪田: |
そうすると、ほぼ100%になってきますよね、成約率って。 |
笠井: |
でも、そうでもない方もいらっしゃるので、やはり全体で見ると、無料体験まで手配して8割くらい。 |
そうすると、面談時に香りの効果を活用できないかというのは、成約に結びつけるというより、その先のことを考えて……ということなんでしょうか? |
笠井: |
成約は通過点ですから。家庭教師には、成績が上がらなかった場合や下がった場合に、お客さんがどう思うかという問題があります。『先生のせいだ』と思う方もいれば、『本人がやっていないからだ』と思う方もいます。どう受け取ってもらえるかは、こちらの方針や相手の理解等、ある程度は関係性で決まるんです。 |
だから、最初に面談をした時に、相手の希望に沿った提案をするために、情報を引き出しやすく、本音で話してもらいやすくしたい……ということですね? |
笠井: |
そうでないと、後で『あれ?面談で言っていたことと違う』『お子さんと言ってることが違う』となりかねませんし、実際に未だにそういうことが結構あります。そういった理由で、心を開いてもらえればお互いにとって一番良い結果に繋がりますから。 |
阪田: |
今は何人くらいの子をみているんですか? |
笠井: |
家庭教師で90名くらい。シーズンによって変わりますけれど。 |
阪田: |
卒業されるから…… |
笠井: |
そうなんです。波はありますが、去年よりは1割2割良い月が続いています。ただ、元々が凄く小さいところでやっていますので、まだまだですね。数字を伸ばしていくには、浸透させていかなければいけないということで、今作っているのが『ふくい家庭教師ナビ』というインターネットでマッチングするサイトです。 |
阪田: |
先生と生徒さんを?それは良いですね。 |
笠井: |
先生のプロフィールを細かく、名前、顔写真、授業料等、全部一覧表にしたものが載っています。 |
阪田: |
それ、凄く求めていると思います。 |
笠井: |
それがひとつ。今年の9月くらいから始めて、育てていこうとしています。あとは、個別教室(塾)を今の場所で今月から始めています。サイトの方は、まだ問い合わせが1〜2件程度ですので、新しい取り組みは時間が掛かりますね。 |
阪田: |
そうなんですよね。私も仕組みを作るまでが大変なんですよね。 |
笠井: |
アメリカで成功事例のようなものがあったので、やってみようと思ったんです。今は、元々いる先生も含めて、70数人に登録してもらっています。 |
阪田: |
登録している先生って何人いるんですか? |
笠井: |
登録だけだと、以前からの延べだけでいうと500名は超えました。 |
阪田: |
それは『福井県内ならどこでも行くよ』っていう方ですか? |
笠井: |
そこは人それぞれですが、だいたい自宅から車で30分くらいですね。 |
阪田: |
こういうサイトって他ではあんまりやってないんですよね? |
笠井: |
調べた限りでは、日本にはありませんでした。 |
阪田: |
凄いじゃないですか。どうして他はこういうものをやらないんですかね? |
笠井: |
幾つか理由があると思います。まず、こうして先生に色々なことを聞く習慣がありません。実際、非常に面倒ですから、やりたがらない。それと、1時間あたりの授業料。うちは先生本人に決めてもらっているんですが、こうして明確にするのを嫌う業界なんです、家庭教師って。どのページを見ても一番安い金額が出るだけですね。 |
阪田: |
素敵ですね。 |
笠井: |
評価順でソートもできるんですが、こうやって見ると学生家庭教師は殆ど医学科ですね、一学年100人いる内の一割くらいはうちに登録しているかも知れません。こうして授業料をガラス張りにして、ここから手数料を引いた分だけを先生に支払うという形にしています。この手数料に関しても、合計指導時間が増えれば減るようにして、人気のある先生は取り分が増えるようにしています。先生が指導に慣れているかどうかの目安としては、指導時間51時間以上あたりで安定するように考えています。 |
阪田: |
でも、それをしない理由が、選ぶ側からすれば良く分からないですよね。どうして授業料を伏せておくんですかね。 |
笠井: |
一般的に『高い』ってイメージがあるのかも知れませんね。 |
阪田: |
私は安いと思いますけど…… |
笠井: |
そう思ってくれる人は反応があると思うので。 |
これは全部自社で登録可能になっているんですか? |
笠井: |
そういう風に作ってもらいました。作りたいと思ったのは去年の話なので、同友会に入会していなかったらやっていなかったかも知れませんね。 |
阪田: |
私もショッピングサイトを立ち上げたんですが、自分で作れるとはいってもなかなか難しいですよね。アイテムは、まだ2つくらいですね。どんどん増やしてはいきたいんですが。ページの下の方に書き溜められるようになっているブログの記事が300を超えた頃には幾つか選べる状態にしようという目標でやっています。今日言って明日できるものではないので、時間は掛かりますよね。 |
笠井: |
時間を使って手を加えないとアクセス数が上がっていかないですからね。 |
阪田: |
こうして話をしてみると、色々と共通点や接点がありますので、これからもっと関わりを持っていければ良いですね。 |
笠井: |
そうですね。 |
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何故、対談相手に林さんを選ばれたのですか? |
前田: |
青年部に籍をおきながら、まだ一度も参加したことがなく、青年部会長の林さんとお話をさせていただきたかったのでご指名させていただきました。 |
前田: |
何故、同友会に入られたのですか。 |
林: |
安部書店の安部社長の紹介で入りました。実家の近くで父親と知り合いでもあり、仲良くさせていただいていたので。福井に戻ってきた時に、とりあえず入らないかと誘っていただいて、横の繋がりも増やしたかったので入りました。 |
前田: |
福井に帰って来られる前はどちらにいたのですか? |
林: |
大学が千葉の大学で、卒業して一年間千葉で働いていました。その時は会社を継ぐという思いはありませんでした。一年間働いている中でふと、僕が実家を継がなければ親父の会社はなくなるだけだなと思うとさみしいなと思って帰ってきました。帰って来た時は、セキュリティハウス福井という親父の会社に籍は置いていたのですが、福井にいても、規模も小さく学ぶことも少ないからということで、営業の人数も多くて工事の規模も大きいセキュリティハウス岡山で3年間工事や営業の修業をしてきました。8年前に福井に帰ってきて今、ひたすら営業をしています。 |
前田: |
主にどういう仕事をされているのですか? |
林: |
仕事は防犯設備、防犯カメラとか、警報ベルの販売などです。警備会社さんとは違います。警備会社さんは、機械も取り付けますが、異常があった時に駆けつけて対応するという、ガードマンシステムになっています。弊社は駆けつける前の対応をするという仕事です。狙わせない、被害にあわないような環境を作ろうということで、防犯設備をシステムとして販売し工事をしています。例えば、その設備で窓を映像などで警戒したり、室内を警戒したりをさせてもらってます。 前田さんは同友会に入会して1年くらい経つと思いますが、入会したときはこういうことを学びたいとかいうのはありましたか。 |
前田: |
昨年は朝活の会にも入ってまして、3、40歳代の同世代の人が多く集まっている会でやり手もいれば、若手もいるといった感じでした。なので、経営者の方、しっかりした会社をやられている方と交流を持てたらいいなという思いはありました。未だに何をしていいのかは、分からないのですが、いろんな方と交流できて入ってよかったです。 例会に出ると学びとか社員共育といったことが話題になることが多いのですが、まだ、社員もいないですし、自分自身をどうしようといった状況なのでそれをどう生かそうというとまだ分からないのが正直大きいです。 |
林: |
前田さんは独立して2年くらいと聞いたのですが、その前はどういうお仕事をされていたのですか? |
前田: |
実は20代で一度独立して大阪で写真のギャラリーを経営してました。そこで写真を販売したり、学生さんや写真スタジオに勤めながら作家活動をしている若手たちが作品発表する場を提供していました。福井に戻ってきてからも、写真の仕事をと思い、婚礼専門のスタジオに入社して2年くらい働いていました。ある程度お金の余裕と、人との繋がりも出来たので、もう一度独立しようと思ったのが2年前です。写真にはずっと関わってきてました。 |
林: |
福井ではギャラリーで写真の販売などをするつもりはないのですか? |
前田: |
無いですね。無いということもないですが、よほど、本業で稼げないと。それこそ趣味みたいな世界なので。東京や大阪ならまだ場所さえ持っていれば、場所貸しということである程度の売上げは見込めるんですが、全体数が少ない福井で、作家活動をしたい人が少ない、正直そういう文化もないところでは商売にはならないと思っています。やるとしたら、カフェで東京や大阪の作家を連れてくるということはやりたいなとは思っています。何年先になりますかね。 |
前田: |
青年部の活動というのは、どういうことをしているのか?同友会っていうのは何をするところなのか?同世代である林さんが同友会に入って得た経験などがあれば、教えていただきたいです。 |
林: |
僕は同友会に入って長いのですが、最初はただ在籍してただけだったのですが、本当に良かったなというかきっかけになったことがありました。それは弊社は親父が社長でずっとやっていましたが、仕事としては僕が帰って来た時からやっていなくて、工事の手伝い程度でした。それで僕自身のなかでは営業も工事も自分でやっているつもりでいました。そのまま、ぼくが社長になるんだろうくらいに思っていました。それが例会に出て、話をしている中で、親父、会社、事務員に対して、文句を言ってるだけだったのではないかと。というのも、きっかけになった話ですが、ある時、「お前は事務員に対して文句ばかり言ってるけれど、その事務員がいなくなったら、どうするの?」と言われて「一人でやります」と言ったところ、「それが覚悟じゃないのか」と言われ、そこでスイッチが入りました。僕が代表としてずっとやっていく会社なのだから、自分のしたい会社にしたいと。同友会で言ういい会社にしよう、いい経営者なろう、いい経営環境を作ろうといったところは、例会で学んだ中で、目指すべきところだなというのはあったので、そうしようと決めたきっかけでしたね。そこから、遠慮しなくなりましたね。言いたいことは言いますし、そのことで文句を言われても、突っ走るというわけではないですが、自分のやりたいことはやらせてもらうといった感じでやるようになりました。その結果、事務員は辞めることになりました。実は2年前にも辞めると言われたことがありました。その時は辞められると会社が回らないからと、こちらが考えを直すから残ってくれと頭を下げて残ってもらったんです。その後2年間の間に覚悟とか決意とかいろいろと勉強してきて、今回言われた時は僕はこうしていくからということで、辞めてもらいました。賃金に関しても、「経理の仕事だけでは、これ以上、上がることはない。ただ、僕は会社を良くしていきたいから、いい会社にする為に行動してくれたりだとか、努力をしてくれた部分に関しては、賃金を上げていきます」という話をしましたが、伝わりきれなかったのか辞めるという結果になりました。そういった覚悟を得られるような話を周りから聞けるというか、そういったきっかけをもらいました。 よく、同友会で言う「何のために事業をやっているの?」ていうことを聞かれます。前田さんはお一人で事業をやっていますが、改めてそういったことを考えるといいと思います。その想いや理念が決まってくると、もちろん数字的な部分や会社をどうしたいかというのも含めて、今後の目標がでてくるんです。その目標を達成するためには、計画や戦略を立てたり、売上も上げていかないといけない。そういったところが同友会でいう経営指針とか理念経営だと思います。今年はその「経営指針を作ろう」と青年部でやっています。ちなみに今、理念というか何のためにやっているのか、どうなりたいのかといったものはお持ちですか? |
前田: |
僕の写真がすごいとかうまいとかといったことは、正直思わなくて、僕が底辺だという思いでやっています。全国には僕の写真くらいを撮れる人はたくさんいて、ギャラリーをやっていたこともあって、努力している人をたくさん見てきました。もっともっとスキルアップしていきたいと思っています。 |
林: |
お客さんにアピールする時に他のカメラマンとここが違うとかっていうところで、仕事へ思いの部分とかが入ってくるのではないかと思うのですが。 |
前田: |
例えば、ホームページの仕事。僕の写真を気に入っていただくかというところですね。今はネットで写真を見て、問い合わせてこられる方もいます。料金ではないところで比較して言ってきてくださる方がすごく多いです。見ていただければ違いが判る、自分に合うと思っていただけるのではないかと思っています。そういう意味での情報発信はしています。 しかし、ずっとフォトグラファー前田のままではいけないと思っていて、経営指針や理念を作ったうえで、人をいれていくということを考えないといけないのかなというのは、同友会に入って気付かされたことですね。 |
林: |
何の為にっていうのは大事ですよね。弊社も借入れが多く、利益が出ても全部返済にまわして終わりという状況なんです。とりあえず、借入をなくしたいと思ってやってきたんですが、経営指針を作っていくうえで、業界の分析をしたら、東京オリンピックがあったり、福井で国体があったりで、業界としたら伸びていく時期ということに気づきました。その伸びていく時期に人を入れて教育していくのでは間に合わないのではと。 僕の目的が借入れをなくすということなら、人を入れずにやってしまうことだと思っていたんですが、いろいろ考えて、それでは意味がないと思い、新しく人を入れることにしました。借入の見直や、固定費も見直したり、実際のお金のやりくりとかも真剣に考えてます。今後の会社の在り方とかどうしたいとかを考えたら、そういう風に辿り着きました。同友会は理念とか思いとかだけに突っ走る方もいらっしゃいますけど、実際には理念だけではなく、戦略や財務はやはり重要なことです。そういうことに気づくことが出来てよかったと思います。 |
組織としてどうしていくのかということですね。フォトグラファー前田だけではいけないと。 |
前田: |
そうそう。何を言っても自分の思いだけなので。やはり経営指針、理念を作ったうえで社員を採用するといったこもと考えないといけないのかな?と同友会に入会して考えるようになりました。 |
目標を達成するには最低限の人は必要ですね。一人でできる事と10人でできることは違いますから。 |
林: |
ただ大きくするのが大事ではないが何の為っていうのは大事ですね。 今までは借入金返済を目標に仕事してきました。ただ同友会に入会していろいろな場で経営指針を勉強していくとこの業界はまだまだ伸びていく業界であることを認識し、この伸びていく時期に社員を増やさずに借入金返済を目的に働くのは会社を経営する意味がないのでは?と思うようになり、借入金の返済はもう少し先に延ばしてまずは社員の採用をしたいと考えるようになりました。 同友会では理念や思いで走る人もいますが、会社の資金の大事、そういった点も同友会で気づかされました。 |
前田: |
計画と資金を考えないとダメですね。 |
林: |
理念だけでは何も前にすすめられないですね。 経営指針は具体的な分析をさせてくれる。自社分析、競合分析、外的分析など。 |
前田: |
わが業界を分析すると、写真て結婚式から始まって子供の成人式で終わってしまう。 子供の成長にあわせて終わってしまうんですね。大人も写真を撮りましょう。そこから始まったのが「大人ハグ」企画。人口減少が続く中、大人にも写真をとってもらわないと業界が衰退してしまう。 |
自分の思いだけでは経営は失敗する。だから分析が大事。分析をきちんとすれば人とお金をどこに向ければよいかわかってきます。 |
前田: |
でも福井って人口減少がすすんでいきますよね。 |
ですが、30代女性がUターンしたい街に選ばれています。 |
前田: |
Uターン組には受け入れられやすい写真を撮っていると思うのでどんどん戻ってきてもらいたい(笑) |
ただ県外に出た学生が就職しようと情報を取り寄せても福井が一番情報発信が少ないという話を聞きました。 自治体もチカラを入れてはきていますが、中小、零細企業自身がもっと情報発信をしていかないといけません。 |
林: |
幸い同友会には色んな業種の方がいるのでコラボ企画も出来ますしね。 |
近しいところとコラボしようとしてしまっていて、幅の広がりが少ないですね。もっと市場を作っていくべきでしょう。 |
林: |
人口が減っていっても顧客となりうる対象者が増えていく。 |
前田: |
そうですね。例会に出て多くの方と出会いましょうってことですね。 |
林: |
多くの経営者に出会えます。若手からご年配の方、創業者から跡継ぎ候補などそれぞれ抱えている悩みも相談できます。 |
経営は実践してみないと分かりません。 |
前田: |
経営って……出来ていないかも。 |
林: |
前田さんはちゃんとやっていると思いますよ。ただ気づいていないだけ。 どういう風になりたいのか?どうしたらなれるかを考えるのが大事では?例会等に参加して話を聞くだけじゃなく、実行しないとダメですね。 ただ僕の場合、やればやるほど失敗続きで経営理念を作って社員に発表したら、会計事務所含めて大問題になったりとか……(笑)結局誤解だって事がわかったんですが。でもやらないよりやってよかったですね。会計事務所とも理念を共有できることになりましたし。 |
どこを目指しているかが分かれば、言っている意味も分かり誤解もなくなります。 事務局にいろんな相談があっても、何をしているか、目指しているのがどこかが分からないと会員さんを紹介もできません。 |
林: |
私もお客様との会話の中でインターネットの話になった際、ホームページ制作の事を聞かれ、会員さんを紹介することも出来ました。真面目に取り組んでいると何をやっているのかがわかるので紹介もしやすいです。 |
紹介される側にとっては、聞いた本人は知らなくても知っている人を紹介してくれれば良いんです。 |
前田: |
なるほど。まずは例会等、しっかり参加してもっと異業種交流しましょう!という事ですね。 |
林: |
最終的にちょっとでも良い会社になっていれば良いですね。 |
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何故、対談相手に古市会員を選んだのですか? |
髙山: |
入会したばかりで右も左も分からないので、新年度の代表理事にも選ばれ、熱心に活動している古市会員に、同友会について話を聞けたらと思ってお願いしました。 |
古市: |
この機会に、何を求めて同友会に入会したかを教えて貰いたいですね。代表理事として、どういう風にしていけば皆のためになる同友会にできるのかを考えていますので、そういった話もできたらと思います。 |
古市会員の仕事について聞いてみたいことはありますか? |
髙山: |
出張で色々なホテルに泊まる機会はありますが、経営の中身までを知る機会はありません。何を考えて経営をしているのか、どこに投資しているのか等、聞いてみたいですね。 |
古市: |
うちの場合は、フロント。社員が一番大事だから、社員教育をしている途中かな。企業が存続する為に利益を出すことは大前提ですが、本当の目的はそこではない。 父親のホテル経営を手伝い始めた当初は儲ける為に頑張っていたが、「会社は儲ける為にある」とは、どうしても思えなかった。色々な会に入って、色々な話を聞いている内に、「会社は人を育てる為にあるのかな」と思うようになり、それが一番しっくりきた。人が育てば会社が良くなるという以上に、それにより地域が、更に言えば日本が良くなる。だから今は、「うちの社員が人として育つ為には」を考えながら経営をしています。 |
髙山会員はデザイナーですが、どんなことを思って仕事をしていますか? |
髙山: |
今はまだ、そこまでは目を向けられていません。修業時代は、いち作業者として、お客様が喜んでくれるのが嬉しくて仕事をしていました。しかし、独立した途端に考えなければならなくなったのは「会社を存続させるには?」「経営者って何だろう?」ということ。数年前から急激に広告費が削られ始め、デザイン業界の作業単価も底なしに値下がりしているという危機的状況の中で生き残っていく為に、「経営者として必要な知識や観点を勉強しなければ」という結論に至りました。それが、同友会への入会理由にもなっています。 |
古市: |
それは、自分も一緒。経営に余裕がある訳ではないが、少し長く経営して情報を得ている分だけ、違う考え方ができているだけだと思う。だから、「まだ」なのではなく同じなんじゃないかな。「取り敢えず、お金」という人もいるけれど。 |
髙山: |
それ自体は悪いことではないと思う。1〜2年前まで東京の仕事をメインにしていたので、そういう世界もあるのは知っている。「取り敢えず、お金」が働く意欲になっているのなら、アリかなとは思っている。 |
古市: |
そうは言っても、現実問題として嫌がられる。感じが悪いと思うし、そう思われてまでお金を儲ける意味が分からない。生きている以上は人と人との付き合いの中で生きていかなければならないのだから、人に好かれた方が楽しくないか。お金が必要ない訳ではないが、お金を儲けても周りに人がいないのは寂しくないかというのが自分の考え方。 |
髙山: |
もっとお金儲けに積極的だと思っていたので、それを聞いてビックリしました。そういった考え方ができるのが、社員に慕われる理由なのかなと思います。 |
古市: |
企業規模が大きいところの方がそういう考え方をしているように思う。会社からも本人からも「金!金!金!」という感じは見えない。 |
髙山: |
ごく最近、ある会計士さんに注意されたことがある。最近、一番大切なことを、「お客様の為に」とか「喜んでいただいたから」というのを忘れていないかと。そう言われて反省すると同時に、「お客様の為に」と「存続の為に」というのが永遠のテーマかも知れないと思った。そこは、同友会などで他の経営者と話をする内に、勉強をしていく内に何かしら答えが出るのでしょうか。 |
古市: |
なかなか難しい。「お客様の為に」と思ったことでも、やり過ぎると商売ではなくボランティアになってしまう。そのバランスについて自分自身が迷っているから、答えが見つかっていないから、社員にハッキリと示すことができていない。 |
お金の話と社員の話とお客様の話というのは、相互に関係のある部分だが。 |
古市: |
上手くバランスを取らなければならない。良いサービスを、適正な価格で提供する。その、適正な価格というのが分かり難いのだが。 |
髙山: |
例えば、ホームページの仕事。100万円出せる企業と15万円しか出せない企業から依頼があり、やることは同じなのに、どちらも「この予算内でやって」と言われることがある。これって、どうなのでしょう?この場合、どちらにも同じようにやれば、後者は殆どボランティアになってしまう。やれば喜んでくれるが、それでは会社の経営が成り立たない。喜んで貰おうと思って安くすればするほど、自分も、業界も死んでしまいます。 |
古市: |
それだと、今は喜ぶかも知れない。でも、次に頼もうと思った時に誰もいなくなっていたら、非常に困る。だから、お客様に喜んで貰おうと思うと、存続はしていないといけない。だから、安くすればいいという話ではない。やっている内に適正な価格を見つけないといけない。 |
極論ですが、お客様がその広告のお蔭で広告費以上に儲かれば、どんなに金額が高くても喜んで貰えますよね。 |
髙山: |
今までの広告業界を、システムを変えなければいけないのは、そこのところ。広告を出しても、どれだけの反応があったのかが見えてこない。 |
広告代理店を通しても、どれだけの結果がもたらされたのかが分からない。広告を出した後に追跡調査し、その効果の解析までしているところが福井にはない。決められた予算で広告を作っているという、それだけの話。 |
古市: |
費用対効果がハッキリと出ないのは難しい。こちらも値段のつけようがない。 |
安くすることがお客様の利益ではなく、それで儲かることが利益。本当は、当たり前のこと。インターネットではクリック数などが出るが、チラシでは難しい。 |
古市: |
ユーザー側が求めているのは売上。クリック数が分かっても、ページを見ただけでは意味が無い。劇的に売上が上がらない限り、いくらでもいちゃもんをつけることができてしまう。掛けた金額以上の利益が出るのが明らかであれば、お金を掛ける。効果が分からないから、リスクを減らす為に値切る。結局、どの程度の効果があったのかも分からない。 |
髙山: |
でも、最近はどの業界でもデータに溺れてしまっている。実体験からくる勘を交えず、数字だけを見て判断する。データに頼り過ぎるのは、Web業界の考え方が浸透し過ぎた所為なのかな。 |
古市: |
説得しようと思ったら、見える化は必要なこと。勘というものも大切だけど、それを裏付けるデータが必要。データにしても、一部分だけでは間違ってしまうので、両方が必要。それは、社員にもよく言っている。昔は勘だけでも出来たのだろうけど、難しい時代になった。 |
昔はインターネットもなかった。 |
古市: |
宿泊の単価が落ちているのは明らかにインターネットの所為。ホテルは建物にお金を掛けて、それを切り売りしている。そのお金に比べれば1人のお客様の対応に掛かる経費は小さいから、部屋が空いているよりはマシだから値下げをしてしまう。でも、建物に掛けたお金を宿泊費に載せなければ、何億円もの返済は出来ないし、会社は潰れてしまう。その為の定価なのに、それを下げてしまうのは、インターネット上で比較されるから。1人でも多くのお客様が欲しくて他社より少し下で……とやってしまう。他社が下げていく中、最初はずっと我慢して変えなかったが、背に腹は代えられなくなって一気に下げた。今はバランスを見ながらやっているが、今の価格では厳しいし、他社も厳しいはず。 |
適正な価格で抑えるというのが本当は一番大切なのだが。 |
髙山: |
5〜6年前、デザイン業界の中でも最低ラインを決めようと話し合いを持ったことがあったらしい。でも、守らない。みんな、自分だけ生き残りたい。単価を下げれば仕事は来る。でも、数年後にはそれでは回らないくらいに自分達の首が締まっている。 |
古市: |
宿泊業もそう。福井の中で下げ合っても仕方がないから、下げないでおきましょうと。同じことを言っている。でも、隣県が下がっていっているとなれば、もっと広い視点で見ないといけなくなる。そうすると段々、北陸、日本というレベルで広がっていき、どこまで考えれば良いのか分からなくなってくる。 |
本当は値段を上げていく方法を考えなければいけない。 |
古市: |
付加価値を付けて、値段を上げて。それでもお客様は費用対効果。 |
髙山: |
面白いのは、「自分が広告を出す立場だったら」と視点を変えて考えてみた時。いちユーザーの立場なら、やっぱり安い方が良い。 |
単純に選ぶとそう。でも、そうなるまでに、例えばホテルなら、福井全体の価格が上がるためには、福井に来たいという需要がないといけない。人が沢山来て、宿泊施設が足りなくなってくれば、単価は上げられる。 |
古市: |
結局、自分だけではないということ。需要と供給のバランス。なかなか実行は出来ていないが、組合でも「足の引っ張り合いでは駄目だ。みんなで福井に来る人を増やそう。うちが好きな人もいれば、他が好きな人もいる。幾つもの選択肢の中から選んで貰えば良いじゃないか」という考え方になっていっている。 自分だけが頑張っても駄目で、福井が良くなるようにすると自社も良くなる。だから、「地域や社会にも貢献しないと」という風に考え方が変わってくる。北陸新幹線を例に挙げれば、福井・石川・富山がチーム北陸として「みなさん北陸に来て下さいね」と協力して集客をすれば、みんなが良くなる。そういう、少し大きな視点を持ってやっていかないと、今後は成り立って行かないのではないかと思う。特に、我々のように小さいところは。だから、地域貢献というのが大事で、それを更に大きな視点で見ると、チームジャパンで対外国という風になってくるのかなと思う。だから、社会に貢献していくというのはすごく大事なのだろうと、商売をするようになって思った。 |
髙山: |
同友会に入って、ということ? |
古市: |
同友会の影響は確実にある。どんな会にも志や目的があって、それを理解して入会すれば、全て自分の為になる。ただの異業種交流会、ただのビジネスマッチング会としか思っていなかったら続かない。会の意義や目的を理解して、その達成の為に動いていれば、それを見た方が「信用できる」と思ったら、仕事をくれるようになるのだと思う。そう言う自分も、最初は商売の為、顔を売る為に入って、そう思うようになったのは何年もしてからだけど。 |
……といったところで、キリも良さそうですし、この辺りで一旦〆ましょうか。 |
全員: |
ありがとうございました。 |
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